あおい おそらの そこ ふかく、

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS おやすみ、こわい夢を見ないように

<<   作成日時 : 2008/06/06 00:38   >>

トラックバック 0 / コメント 0

先ほどに引き続き、こんばんはー!
冷たい麦茶がおいしい季節になりましたね。
お風呂上りに、マグいっぱいの麦茶をぐうっとのみ干したら、眉毛の真ん中辺りがぼんやりと痛くなりました。
ゆっくり飲もう、もっとゆっくりと。

表題は、新潮文庫 角田光代著の短編集のタイトルです。
先日、ふらりと立ち寄った古本屋さんで見つけたもの。
タイトルに引かれて、ぱっと買ってしまいました。
このごろ、自分に余裕がなくて、本を読みきることが難しくなっているのですが、この本は最後までじっくりと読むことができました。

『あたしですか、あたしはこれから人を殺しにいくんです。』(『このバスはどこへ』より、抜粋)

始めに目に飛び込んできた文章がこれ。
ミステリ仕立てなのかな?と思いました。
軽いミステリで、犯人が捕まって、すっきりと収まってくれたらいいな、なんて、甘い考えで、この本に挑みました。
タイトルの「おやすみ、こわい夢を見ないように」という響きも、とてもやさしくて、疲れた心を包み込んでくれそうな、癒し系だし、なんて、ね。

残念ながら(当然?)、そんな都合のいい夢は、その中にはありませんでした。
私が考えていたような、ふわふわとした、綺麗なことだけが書いてあるような、そんな本ではありません。
本の中にあるのは、どこにでもいる普通の人が抱く、悪意、殺意、断絶でした。

物語の舞台は現代の日本です。
主人公たちは、大きな冒険に挑むわけでもなく、大きな犯罪に巻き込まれるわけでもなく、あたりまえに日常生活を送っています。
ただ、その『日常』が恐ろしいのです。
毎日飽きることなく繰り返されるはずの『日常』に押しつぶされて、少しずつ何かが変わっていく。
初めは愛情であったものや、友情であったものが、いつのまにか損なわれて、変質していく。
主人公たちは、傷つき、あるいは人を傷つけ、もがいている。
そうして溜め込んだ悪意が、いつか爆発することを恐れている。

こうやって感想を書くだけでも、息をつめてしまうような閉塞感があります。

ただし、この話のすごいところは、気持ちが悪いだけで終わらないところです。
短編なので、一つ一つ、微にいり細にいり語られないのですが、必ず希望が見えてくるような終わりかたになっていると思います。
ほんの少しであるにしても、必ず光明が示されている。
そこが、最後まで読みきることができた要因だと思います。

なにより、それぞれのタイトルがいいんですよ。
とても綺麗で、詩情にあふれている。
表題の『おやすみ、こわい夢を見ないように』を始めとして、『空を回る観覧車』、『うつくしい娘』、『晴れた日は犬を乗せて』などは私のお気に入りのタイトルです。
一番好きな話は『おやすみ、こわい夢を見ないように』で、次は『うつくしい娘』かな。
なんとなくぞっとしたのは、『スイート・チリソース』で、一番嫌だったのは『空を回る観覧車』かな。

何回も読みたい本ではないものの、時間をかけてじっくりと読みたい本でした。






設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文